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長崎探訪 長崎くんち


 

毎年107日から9日までの3日間、長崎市では秋の大祭「長崎くんち」が開催されています。

寛永11年(1634年)、ふたりの遊女が諏訪神社神前に謡曲「小舞」を奉納したことが始まりといわれており、現在では58の踊町(おどりちょう)が、7年に一度、持ち回りでそれぞれの演し(奉納踊)を奉納します。

 

今年の踊町と演し物は次のとおりでした。

新橋町 傘鉾・本踊 阿蘭陀万歳

諏訪町 傘鉾・龍踊

新大工町 傘鉾・詩舞・曳壇尻

榎津町 傘鉾・川船

西古川町 傘鉾・櫓太鼓・本踊

賑町 傘鉾・大漁万祝恵美須船

 

前日(まえび)とよばれる7日の朝から始まる諏訪神社での奉納踊は、地元テレビ局で一斉に中継されるので、ふだんはラジオ派のわが家も、このときばかりは必ず放送を見るようにしています。

見どころ満載のおくんちですが、近年私が注目しているのは子どもたちの活躍ぶりです。

今年はおくんちの代表的な演し物、「龍踊」が奉納され、青龍、白龍に子龍、孫龍まで登場しました。今回は子龍を年中から小学生までの子どもたちが操り、まるで生きているかのような躍動感あふれるみごとな演技を見せてくれました。

毎年のように奉納される「川船」では、大勢の観客が見守るなか、船頭役の少年が網を打ち、魚たちを一網打尽にする「網打ち」が行われました。練習を重ねての晴れ舞台、見ている私たちにも緊張が伝わってくる少年の真剣な表情は、心に迫ってくるものがありました。

ほかにも、それぞれの演し物で囃子方を務めるのは主に子どもたちですし、踊り子として本踊などに参加するようすも見かけます。私が子どものころと比べると、子どもたちの出番が多くなったように感じますが、きっと未来のおくんちの担い手を育てるという意味もあるのでしょう。

晴れの舞台でいきいきと演技をする子どもたちの姿は、大人の心を和ませ、元気を与えてくれます。子どもたちにとっても、ふだんの生活では得がたい経験をして、成長する機会にもなっているのではないでしょうか。

 

諏訪神社や踊場での奉納踊につづき、それぞれの踊町は店や民家などの門前で短い踊りやお囃子を披露してまわる「庭先回り」を行いますが、なんと3日間で市内各所の15003000軒を訪ねるそう。肉体的にはもちろん、そのプレッシャーや責任感を考えると精神的にもとてもたいへんです。

そして、後日(あとび)とよばれる9日の夜、すべてのスケジュールを終えた踊町の皆さんは自分たちの町へ帰り、町の人たちに迎えられ「仕舞踊」という最後の演技を披露します。

もうずいぶん前のことですが、忘れられない光景があります。

たまたま近所で仕舞踊にでくわしたことがありました。たいへんだっただろうな、お疲れさまという気持ちで見つめていると、演技を披露していた少年の目から涙があふれたのです。きっと、つらかったこと、楽しかったこと、ほっとする気持ち…、いろんな思いがこみ上げたのでしょう。思わず見ている私も目頭が熱くなりました。

おくんちはそんな心を動かされる瞬間に不意に出会えるお祭りです。

街歩きしながらのくんち見物もおすすめです。

ぜひ機会があれば、秋の長崎を訪ねてみてください。

 

(担当:K)

 

 

 

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